挑戦し続けるからこそ後悔はない。BMSG 執行役員CMO石塚秀彦氏が選んだ、次なる"熱狂の舞台"

2026-04-15

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*2025年9月1日時点
目次

    BE:FIRSTやHANAを擁し、日本の音楽業界に旋風を巻き起こしている株式会社BMSG。その急成長を裏側で支える一人の「参謀」がいる。執行役員CMOとして参画した石塚秀彦氏だ。

    新卒でサイバーエージェントグループに入社し、20代で子会社社長を経験。その後、自ら立ち上げたスタートアップで大型の資金調達と事業ピボット、そして「経営のハードシングス(困難)」までを経験した彼が、なぜ次の挑戦の場としてエンターテインメント企業であるBMSGを選んだのか。

    「才能を殺さないために。」というミッションに共鳴し、ビジネスとクリエイティブの交差点で新たな熱狂を生み出そうとする石塚氏に迫った。

    石塚 秀彦(Hidehiko Ishitsuka)
    株式会社BMSG 執行役員CMO デジタルマーケティング&ファンビジネス統括
    2006年にサイバーエージェントグループに新卒入社。2008年にグループ新会社の設立メンバーとして転籍し、代表取締役社長に就任。2012年に広告会社を設立、2015年にライフスタイル領域のスタートアップとして事業ピボット。VCなどから大型調達を行い、IPO準備、事業譲渡、上場企業の顧問などを経験。2024年11月にBMSGにジョインし、執行役員CMO デジタルマーケティング&ファンビジネス統括に就任。
    インタビュアー:フォースタートアップス株式会社 平田 将也

    大型調達の「栄光」と、経営者としての「ハードシングス」。走り抜けた14年

    平田:石塚氏のキャリアは、まさに「挑戦の連続」ですよね。まずはBMSG参画以前、起業家としての歩みについて教えてください。

    石塚氏: 原点は新卒で入ったサイバーエージェントグループ時代にあります。当時は藤田社長の著書を読んで入社してくるような、熱量の高い同期ばかりでした。27歳の頃に子会社の社長を任せてもらい、広告代理事業から経営のことまで幅広く経験させてもらいました。「20代で社長」という経験をさせてもらったことは大きかったですが、どこかで「自分でリスクを取って勝負したい」という思いが消えなかったんです。

    平田: 当時の同期や子会社のメンバーの方々も、石塚さんと同じく経営者になるなど非常に熱量が高く優秀な方が多かったと伺っています。

    石塚氏:同期を中心に非常に優秀なメンバーに囲まれて、毎日が刺激的な職場環境でした。ただ、そんな優秀な仲間たちが続々と起業して活躍していく姿を見て、自分自身もいつ事業を立ち上げるか、そのタイミングをずっと図っていました。

    2012年に独立して最初は広告代理店としてスタートしましたが、ある時、特定のライフスタイル領域に大きな可能性を感じて。調べてみると、そのジャンルに関する良質なメディアが世の中にない。「これだ」と思い、特化型メディアを立ち上げました。そこからは怒涛の日々でしたね。VCなどから大型の資金調達を行い、事業を拡大していきました。

    平田:順調に見えた中で、最終的にはその挑戦に一区切りをつける決断をされました。当時の心境はどのようなものだったのでしょうか?

    石塚氏:経営者として、非常に難しい決断の連続でした。 資金調達を重ねて事業拡大を目指しましたが、市場環境の変化や事業モデルの課題に直面し、思うような成長曲線を描けない時期が続きました。これ以上無理に続けることが、果たしてステークホルダーや従業員のためになるのか。悩み抜いた末に、区切りをつける決断をしました。

    その後は、関係する方々一人ひとりに誠意を持って対応し、どう着地させるか、その一点に向き合い続けました。精神的にもタフな場面がありましたが、最後までやり遂げようと決めてやり切りました。

    この期間に味わった悔しさや、逃げずにやり遂げた経験は、今の自分の大きな糧になっていると思います。

    初めての「転職活動」と、BMSGとの電撃的な出会い

    平田:その後、キャリアで初めての「充電期間」を経て、転職活動を始められました。なぜ、エージェントを使おうと思われたのですか?

    石塚氏:正直な話をすると、「好奇心」です(笑)。ずっと経営者側だったので、人材市場の裏側がどうなっているのか、自分が商品としてどう扱われるのかを見てみたかった。あとは年齢的にも、心機一転、刺激や学びを得られそうな会社を探していました。そんな感じで、業界も職種も絞らず、フラットにいろんな会社を見て回りました。

    平田:その中で、弊社からBMSGをご提案させていただきました。当初は別の企業への入社が有力だったとお聞きしています。

    石塚氏: そうなんです。実は別の会社でほぼそこで決まりかけていて、翌日もその会社へ伺うというタイミングで当時の担当の方から「BMSGという会社がある」と話を頂き、そこから怒涛の1週間が始まりました。

    平田:決め手は何だったのでしょうか?

    石塚氏:やはり「人」と「熱量」です。 代表の日高(SKY-HI)と初めて話した際、彼がビジネスパーソンとして極めて優秀なのはもちろんですが、何より音楽に対して純粋で、「新しい音楽事務所を作り、グローバルへ進出するんだ」という圧倒的な熱量を持っていることに、強く刺激を受けました。

    そしてもう一つは、経営状態の健全さです。 スタートアップ出身だからこそ骨身に沁みて思うのですが、BMSGは自分たちで稼いだ利益で事業が回っている。これはつまり、「自分たちの意志ですべてを決定できる」ということを意味します。 資金調達のプレッシャーに追われてきた自分にとって、自分たちの稼ぎで自由に挑戦できるこの環境は、非常に健全であり、かつ魅力的だと感じました。

    平田:何か印象的なエピソードはありますか?

    石塚氏:BMSGの紹介を受けた次の日、朝一で役員とオンライン面談を行い、その午後には「今夜空いてますか?」と連絡をいただきました。 夜に本社へ伺ったところ、日高がレコーディング中で時間がかかるとのことで、「隣で30分だけ焼肉食べますか?」という流れになりまして(笑)。 初対面の役員と1日2回会い、さらに短時間で焼肉まで一緒に食べるという、そんなスピード感や飾らない空気感も含めて、素敵で面白い会社だなと惹かれていきました。

    さらに入社の決め手になったのは、翌日の日高との面接でした。 その夜、日高が『No No Girls』の放送後にインスタライブを行っており、私も自宅で見ていました。配信終了の直後に、「それでは今から繋ぎますね」とオンラインで日高との面接が始まりました。

    平田:ライブ配信の直後に面接ですか(笑)。

    石塚氏:画面の向こうに現れた日高は、さっきまで見ていた配信と全く同じ背景、そして全く同じ「熱量」のままでした。配信でファンに向けて語っていた言葉と、面接で僕に語る言葉に一切の乖離がない。「この熱量は本物で、本当に裏表がない人なんだな」と衝撃を受けました。

    気付けばかなり時間が経っていましたが、BMSGや日高の魅力に一気に惹き込まれ、この体験が入社を決める決定打になりました。

    「才能を殺さない。」ために、数字を”後回し”にする強さ

    平田:入社されて約1年が経ちました。実際に中に入ってみて、BMSGの「強さ」をどこに感じますか?

    石塚氏:「数字ありきの意思決定をしない」という姿勢が徹底されていることです。 例えば、目先の売上を作ろうと思えば、CD購入を過度に煽ったり、安易なランダム商法でグッズを売ったりする手法はいくらでもあります。でも、BMSGでは「それって本当にアーティストのためになるんだっけ?」「ファンのためになるんだっけ?」という議論が必ず先に立つ。 「才能を殺さないために。」というミッションが、ただのお題目ではなく、日々の意思決定の具体的な「判断基準」として機能している。ここにBMSGの凄さと、組織としての強さを感じますね。

    平田:ファンの方々の熱量もすごいですよね。

    塚氏:本当に有難いなと思っています。BMSGの強みの一つとして、単なる「アーティストとファン」という関係を超えたつながりを持っている点もあると思います。
    アーティストのファンクラブとは別に、創業時から「B-Town」というオンラインサロンを運営しているのですが、ここには「BMSGの成長プロセスそのものを応援したい」「一緒にBMSGの未来を創りたい」と考える方々が集まってくださっています。昨年、B-Town会員限定のトークイベントをKアリーナ規模で実施できたのも、その熱量の現れだと思います。

    日高がB-Townを通して、会社の方針を直接伝える機会があることは、とても重要で貴重だと感じています。こういった取り組みもあってか、ファンの皆様が互いを尊重する文化が根付いており、この強固で良質なファンコミュニティの存在こそが、BMSGという企業にとって最大の競争優位性(アセット)だと感じています。

    平田:石塚さんは現在、どのような役割を担われているのですか?

    石塚氏:肩書きはCMOですが、領域は多岐にわたります。一言で言えば、「ファンとアーティストをつなぐデジタル体験のすべて」を管掌しているのですが、その中に、自社で運営しているファンプラットフォーム「B with U」、オンラインサロンの「B-Town」、アーティストグッズの企画・販売を行うMDなども含まれており、デジタルマーケティングとファンビジネス全般を統括しています。

    入社当初は、急激な組織拡大に体制や仕組みが追いついていない部分もありました。そこで、リソース拡充のためにパートナー企業の開拓を行なったり、部署連携や業務フローを整えたりと、これまでの経営経験を活かして「組織の足腰」を鍛えることに注力してきました。

    最近では、外部パートナーも巻き込みながら、より筋肉質な組織づくりを進めています。

    目指すのは「デジタルに強い」音楽事務所

    平田:今後、石塚さんがBMSGで実現したいことは何ですか?

    石塚氏:実現したいことはたくさんありますが、その中の一つを挙げるとBMSGで働く社員全員の『意思決定の精度』を底上げすることですね。

    BMSGはこれまで、SKY-HIという稀代のプロデューサーの圧倒的な感性や経験によって大きな成功を収めてきました。しかし、今後組織がさらにスケールしていく上で、個人のセンスや経験だけに頼り続けるわけにはいきません。私が実現したいのは、データやデジタルの力を活用して、社員一人ひとりの日々の判断が、少しでも成功に近づくような「底上げ」の環境を作ることです。

    具体的には、SKY-HIをはじめとするプロデューサー陣や現場のスタッフが判断に迷ったとき、助けとなるようなデータをしっかり整備すること。それによって「無駄な迷い」をなくし、これまで人力でかけていた工数を大幅に短縮したいと考えています。そして、浮いた時間で、社員にはもっと自分の「感性」や「頭を使うこと」にリソースを割いてほしいんです。

    データを活用してハックするようなことは全く考えていません。エンターテインメントにおいて、データはあくまで判断材料の一つです。世の中の流れやトレンドといった生きた肌感覚も大切にしながら、そこに確かなデータを掛け合わせることで、アーティスト戦略全体の精度を高めていく。

    こうした取り組みを通じて、「デジタルマーケティングに強い音楽事務所」としての基礎をしっかりと作り上げ、BMSGという組織をさらに一段階強いものへと進化させていきたいですね。

    平田:最後に、かつての石塚さんのように、キャリアの岐路に立っている読者へメッセージをお願いします。

    石塚氏:私はこれまでに、成功も失敗も色々な経験をしましたが、「やらなきゃよかった」と思ったことは一度もありません。本気で挑戦し、自分自身をアップデートし続けてきたからこそ見えた景色があり、出会えた仲間がいます。

    仕事にワクワクを求めていたり、上昇志向が強い方は、間違いなく「挑戦」を選んだ方がいいです。

    特に今のBMSGは、日本の音楽業界の枠を超えてグローバルに勝負を挑み、数年後には日本のエンタメビジネス史に残るような仕事ができる、最高に面白いフェーズにあります。アーティストだけでなく、働く私たちの「才能も殺さない」、様々なことにチャレンジできる環境です。

    「誰と一緒に働くか」はキャリアにおいてすごく重要です。失敗を恐れて立ち止まるより、同じように悩み、苦しみ、そして高い熱量で挑戦している仲間がいる場所へ飛び込んでみてください。

    そこにはきっと、想像以上の充実感と、互いを高め合える新しい仲間たちが待っているはずです。

    編集後記

    数々の経験をしてきたからこそ語れる石塚さんの言葉には、確かな重みと、それを上回るほどの「軽やかさ」がありました。起業家としての成功も、事業の幕引きという決断もすべてを自身の糧とし、次なる熱狂の舞台としてBMSGという前例のない音楽事務所を選んだ軌跡は、まさに真の挑戦者の姿そのものです。

    「才能を殺さないために。」というSKY-HI氏の強烈な熱量に、石塚氏のようなビジネスの第一線で修羅場をくぐり抜けてきたプロフェッショナルが共鳴し、集結していく。今のBMSGには、単なるエンターテインメントの枠を超えた、ビジネスとクリエイティブが融合する「革命」の熱気が漂っているように感じました。

    「やらなきゃよかったと思ったことは一度もない」。この力強い言葉は、安定か挑戦かで揺れ動く、キャリアの岐路に立つ多くの人の背中を押してくれるはずです。データと感性が高い次元で交わった先、BMSGと石塚さんが世界を舞台にどのような新しい景色を見せてくれるのか、今から楽しみでなりません。

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